上海に住んでいて「これは毎年行かないと損だ」と思っているイベントがあります。それが、テニスの上海マスターズ(ロレックス上海マスターズ)です。
私は2024年から3年連続で現地観戦に行っていますが、結論から言うとやっぱり最高。世界トップ選手のサーブやラリーを目の前で見られるのはもちろん、夜の試合は天井が閉まってクラブのような雰囲気になり、会場にはイベントやフードコート、お土産ショップまでそろっています。テニスにくわしくない人でも1日しっかり楽しめる場所です。
この記事では、テニスをほとんど知らない人向けの基礎知識から、チケットの値段や席の選び方、3年間で見た名場面、次に行く人へのアドバイスまで、上海マスターズ観戦をまるごとまとめました。
目次
上海マスターズってどんな大会?
上海マスターズは、毎年秋に上海で開かれる男子プロテニスの大会です。正式名称は「ロレックス上海マスターズ(上海劳力士大师赛)」で、会場は上海市閔行区にある旗忠森林体育城テニスセンターです。

昼の入場ゲート。手荷物検査を通って会場へ入ります
グランドスラムとマスターズ1000の違い
テニスの大会には「格」があります。いちばん上がグランドスラム(四大大会)で、全豪オープン・全仏オープン・ウィンブルドン・全米オープンの4つ。テレビでよく名前を聞く、あの大会たちです。
その次に格が高いのがATPマスターズ1000。年間9大会しかなく、優勝すると世界ランキングのポイントが1000点もらえることからこの名前がついています(グランドスラムは2000点)。トップ選手には基本的に出場義務があるので、世界ランキング上位の選手がほぼ全員そろうのが特徴です。
| 大会の格 | 主な大会 | 優勝ポイント |
|---|---|---|
| グランドスラム(四大大会) | 全豪・全仏・ウィンブルドン・全米 | 2000 |
| ATPマスターズ1000 | インディアンウェルズ、マイアミ、モンテカルロ、マドリード、ローマ、カナダ、シンシナティ、上海、パリ | 1000 |
| ATP500 / ATP250 | 東京(ジャパンオープン)、北京など | 500 / 250 |
そして上海マスターズは、アジアで唯一のマスターズ1000。日本からも近い場所で、グランドスラムのすぐ下の格の大会が見られるのはかなり貴重です。

夜のゲートはライトアップされていて、テンションが上がります

入口のアーチ。週末はかなりの人出です
テニスを知らなくても大丈夫!観戦前の基礎知識
「テニスのルールがよく分からない…」という人でも大丈夫。最低限これだけ知っておけば十分楽しめます。
- 点数の数え方:0(ラブ)→15→30→40→ゲーム。4ポイント取ると1ゲーム
- セット:6ゲーム先取で1セット。上海マスターズは2セット先取で勝ち
- タイブレーク:6-6になったら7ポイント先取の延長戦。いちばん盛り上がる場面です
- トーナメント形式:負けたら終わり。後半になるほど強い選手どうしの対戦になります
- 観戦マナー:ラリー中は静かに。ポイントが決まったら拍手や歓声OK。ラリー中は席の移動もNGです
生で見ると桁違い。200km/h超のサーブとラリー
テレビで見るのと、生で見るのとでは本当に別物です。トップ選手のサーブは時速200kmを超え、会場の大型スクリーンにスピードが表示されるたびに「え、今の見えた?」となります。
そしてラリーがとにかくすさまじい。打球音が会場に響いて、コートの端から端まで振り回されながらも返球し続ける姿は、まさにプロ。テニスを知らない人でも、思わず声が出てしまうはずです。
昼と夜でまったく違う会場の雰囲気
上海マスターズの楽しみのひとつが、昼と夜で会場の雰囲気がガラッと変わることです。
昼のセッション:青空の下、開放感たっぷり
昼の試合は、屋根が開いていると開放感たっぷり。センターコートの青と緑のコントラストもきれいで、明るい中でプレーの細かいところまでよく見えます。

昼のセンターコート。上の段からでもコート全体がよく見えます
ナイトゲーム:天井が閉まってクラブのような空間に
個人的にいちばん好きなのが、ナイトゲームです。夜は天井が閉まり、照明と音楽の演出も入って、まるでクラブのような雰囲気になります。観客の熱気も昼よりぐっと上がり、ポイントが決まるたびに会場全体が揺れるような歓声に包まれます。

ナイトゲームのセンターコート。この照明の雰囲気がたまりません

夜のスタジアム外観。試合が終わって外に出ても余韻が続きます
夕方には、会場の広場に夕日が沈んでいく景色も見られます。昼の部から夜の部まで通しで過ごすと、この移り変わりも楽しめますよ。

夕暮れの広場。大型スクリーンでは次の試合の案内が流れていました
ジョコビッチが中国で大人気すぎる件とその理由
上海マスターズに行って驚いたのが、ジョコビッチの人気が桁違いだということ。登場した瞬間の歓声のボリュームが、ほかの選手とはまるで違います。

試合後、ジョコビッチがカメラにサインする様子がスクリーンに映ると、観客総立ちで大盛り上がり

コート上のジョコビッチ。この日も会場はジョコビッチ一色でした
なぜここまで人気なのか、調べてみると理由がいくつかありました。
- 上海で圧倒的な実績:上海マスターズで歴代最多となる4回の優勝(2012・2013・2015・2018年)。さらに2008年に上海で開かれたツアー最終戦(テニス・マスターズ・カップ)でも優勝しています。北京の大会(チャイナ・オープン)でも6回優勝していて、「中国で強いジョコ」のイメージが定着しています
- 20年近く中国に通い続けている:2007年から中国の大会に出場し続けていて、長年のファンが多いです
- 中国語でファンに語りかける:試合後のインタビューで中国語のあいさつをしたり、ファンへの感謝を積極的に伝えたりしています
- 愛称「小德(シャオダー)」:中国では親しみを込めてこう呼ばれ、試合中にも「小德、加油!」の声援が飛び交います。練習を見るために早朝から並ぶファンもいるほどです
ジョコビッチ本人も「中国のファンの声援がエネルギーになる」と話していて、まさに相思相愛の関係です。
会場には兵馬俑姿の歴代王者像も
会場内には、歴代王者を兵馬俑(へいばよう)の姿にした像が並んでいます。ジョコビッチ像の台座には、上海での優勝年がずらり。フェデラー像もあり、記念撮影スポットになっています。

兵馬俑姿のジョコビッチ像。台座には上海での優勝年が刻まれています

こちらはフェデラー像。テニスラケットを持った兵馬俑というシュールさがクセになります
3年間で見た名場面
私は毎年だいたい3回戦あたりを観戦しに行っています。トップ選手がしっかり勝ち上がってくるタイミングで、チケットもまだ手が届く価格なのがちょうどいいんです。ここからは、3年間で印象に残った試合を紹介します。
2024年・2025年:推しのズベレフを2年連続で見られた
私の推しは、ドイツのアレクサンダー・ズベレフ選手。長身から繰り出すサーブとバックハンドがとにかくかっこいい選手です。2024年、2025年と2年連続で生で見ることができて、本当にうれしかったです。
試合後には、コートサイドでファンにサインをする姿も。大きなテニスボールやプログラムを差し出すファンに、ひとりひとり丁寧に応えていました。

試合後、ファンのサインに応じるズベレフ選手
2026年:世界ランク4位シェルトンの左キックサーブ、そしてまさかの大番狂わせ
2026年に楽しみにしていたのが、アメリカのベン・シェルトン選手。世界ランク4位まで上り詰めたレフティー(左利き)で、この大会では第3シードでした。
お目当ては、左利きならではのキックサーブ。ボールに強い回転をかけて、バウンドしたあと相手の頭の高さまで跳ね上がるサーブで、生で見ると「そんなに跳ねる!?」と驚くほどの軌道でした。
…ところが、試合はまさかの展開に。相手はフランスの21歳、アルチュール・ジェア選手。マスターズ1000の本戦に初出場という格下の選手でしたが、2セットともタイブレークにもつれこむ接戦の末、7-6、7-6でシェルトンを破る大番狂わせが起きました。
推しが負けるのは残念ですが、こういうジャイアントキリングが起きるのもトーナメントの醍醐味。会場の空気が一気にジェア選手に傾いていく感じは、生観戦ならではの体験でした。
2026年:中国のジョー・イー(周意)vs フルカチュ
もうひとつ盛り上がったのが、地元・中国のジョー・イー(周意)選手の試合です。ワイルドカード(主催者推薦枠)での出場ながら、シード選手のムゼッティを破って勝ち上がり、会場は完全にホームの大声援でした。
対戦相手は、ポーランドのフベルト・フルカチュ選手。2023年の上海マスターズ王者です。試合は6-2、3-6、6-3でフルカチュが勝ち、ジョー・イー選手は惜しくも敗退。それでも1セットを奪い返したときの会場の盛り上がりはすごかったです。

2026年大会、センターコートの上段から見た試合の様子
実は私、フルカチュのプレースタイルがすごく好きなんです。派手さはなく目立つタイプではないのですが、ロボットのように正確なコントロールでコースを突き続ける。大きな体からのサーブも安定していて、淡々とポイントを重ねていく姿には職人のようなかっこよさがあります。
上海マスターズのチケット料金と座席の選び方
チケットは、公式販売アプリ「久事体育(ジウシー体育)」やそのミニプログラム(WeChat・Alipay)で購入できます。購入には実名登録が必要で、同じ身分証で1試合につき1枚までといった制限もあります。
チケット料金の目安
以下は2025年大会の公式価格を参考に、時期ごとの料金をまとめたものです。センターコートのスタンド席は「S席・A+席・A席・B席」のように区分され、それとは別に、コートに近いプレミアムな座席や、さらにその上のVIP向けの席もあります。
| 時期の目安 | センターコートのスタンド席 | コートに近いプレミアム席 |
|---|---|---|
| 大会序盤(昼) | 130〜170元 | 600〜750元 |
| 3回戦前後(夜) | 280〜460元 | 1,600〜1,900元 |
| 4回戦前後(夜) | 420〜690元 | 2,400〜2,950元 |
| 準々決勝〜決勝 | 830〜1,920元 | 5,800〜9,700元 |
※2025年大会の公式価格をもとにした参考値です。年によって価格や座席区分は変わります(2026年大会は60〜1,830元程度の幅でした)。最新の価格は公式販売アプリで確認してください。外のサブコートだけ入れるチケットは60元前後からあります。
見てのとおり、大会の後半になるほど値段は一気に上がります。同じ日でも夜の部は昼より高め。ただ、後半は世界トップ選手どうしの対戦になるので、払ってみる価値は十分にあると思います。
S席は一瞬で売り切れる
いちばん人気のS席は、発売開始と同時に一瞬で取られてしまいます。狙っている人は、発売時間にアプリを開いてスタンバイしておくのがおすすめです。
おすすめは「後ろめの席」
意外かもしれませんが、私のおすすめは後ろの方の席。コート全体を見渡せるので、ボールのスピード感やラリーの展開、選手の動きがよく分かり、臨場感がしっかり伝わってきます。前の席は迫力がある一方で、ボールを追うのが大変なこともあります。値段も手頃なので、初めての人こそ後ろめの席から試してみてください。
試合以外も楽しい!会場イベントとお土産
上海マスターズは、試合を見るだけの場所ではありません。会場にはスポンサー企業のブースやイベントがたくさんあって、ちょっとしたフェスのような雰囲気です。

ハイネケンのブース。巨大テニスボールのミニゲームやステージでのライブも

ラケットを振って的を狙うデジタルゲーム。並んででもやりたくなります
フードコートもあり、軽食やドリンクを楽しみながら一息つけます。試合の合間にぶらぶらするだけでも楽しいです。
お土産は大会ロゴ入りグッズがおしゃれ
オフィシャルショップには、大会ロゴ入りのグッズがずらり。白×グリーンの配色がおしゃれで、普段使いしやすいデザインが多いです。

大会ロゴ入りのキャップ。日差し対策にもなります

タオルも人気。記念になるし、汗拭きにも使えます
次に行く人へのアドバイス
- 昼も夜もどちらで行っても最高:昼は開放感、夜はクラブのような熱気。どちらにも違う良さがあります。迷ったら両方行ってみてください
- 時間に余裕を持って行く:イベント、フードコート、お土産ショップ、兵馬俑像など、試合以外にも見どころがたくさん。試合開始ギリギリではもったいないです
- 昼は日差しに注意:秋とはいえ上海の日差しはかなり強め。帽子やサングラス、日焼け止めを持っていきましょう
- チケットは発売日にすぐ動く:特にS席や後半の人気カードはすぐ売り切れます
よくある質問
Q. テニスのルールを知らなくても楽しめますか?
A. 楽しめます。点数の数え方くらい知っておけば十分。それ以上に、サーブのスピードやラリーの迫力、会場の雰囲気だけで楽しいです。
Q. 何回戦を見に行くのがおすすめですか?
A. 私は毎年3回戦あたりに行っています。トップ選手が出てくる確率が高く、チケットも後半ほど高くないのでバランスがいいです。
Q. チケットはいくらくらいですか?
A. 2025年大会の参考値で、センターコートのスタンド席なら序盤は130元前後から、決勝などの後半は800〜1,900元前後です。後半ほど高くなります。
Q. どの席がおすすめですか?
A. 個人的には後ろめの席です。コート全体が見えて、スピード感や臨場感が伝わってきます。
Q. 昼と夜、どちらがいいですか?
A. どちらも最高です。昼は開放的で、夜は天井が閉まってクラブのような雰囲気。昼は日差しが強いので対策をしていきましょう。
まとめ
3年連続で通っている上海マスターズ。改めて振り返ると、
- グランドスラムに次ぐ格の大会を、アジアで唯一見られる貴重な機会
- 200km/h超のサーブとすさまじいラリーは、生で見ると桁違い
- ナイトゲームは天井が閉まってクラブのような雰囲気
- ジョコビッチの人気は圧倒的。会場の熱気も含めて体験する価値あり
- チケットは後半ほど高いけれど、払う価値は十分
- イベントやグルメ、お土産も充実していて、テニス初心者でも1日楽しめる
テニスにくわしくなくても、きっと「また来たい」と思える場所です。上海に住んでいる人や秋に上海を訪れる人は、ぜひ一度足を運んでみてください。
あわせて読みたい
