上海に駐在している間、わたしたち夫婦は3か所の家に住みました。管理物件(オーナー物件)が1軒、サービスアパートが2軒です。引っ越すたびに「上海の家探しは日本と同じ感覚だとうまくいかない」と痛感したので、この記事ではサービスアパートと管理物件の違い、日本人が多く住むエリアの位置関係、実際に住んで分かった各物件の特徴、そして家探しで日本人が重視しがちなポイントを、体験ベースでまとめておきます。これから上海に来る方の下調べに使ってもらえたらうれしいです。
上海の住居探し、まず全体像をつかむ
上海の駐在員向け住宅は、大きく分けると次の2タイプです。
- サービスアパート(酒店式公寓)…運営会社が管理する、ホテルのような賃貸住宅。フロントがあり、定期清掃やリネン交換が付く。
- 管理物件(オーナー物件)…個人オーナーが所有する小区(マンション団地)の1室を借りる。仲介会社が間に入るが、契約の相手はあくまで個人。
会社の家賃補助の枠、家族構成、赴任期間、そして「どこまで手間をかけたいか」でどちらを選ぶかが決まります。まずはこの2タイプの違いを整理し、そのあとでエリアと個別の物件を見ていきます。
この記事の流れは次のとおりです。
- サービスアパートと管理物件の違い
- 設備トラブルは「起きる前提」で構える
- 日本人が住むエリアの分布と位置関係
- 実際に住んだ3軒レポート
- 日本人に人気の物件・エリアをもっと挙げる
- 日本人が家探しで重視しがちなポイント
- 内見・契約で確認したい実務ポイント
- 日本語対応の不動産会社を使うと安心
- よくある質問
- まとめ
サービスアパートと管理物件の違い
ざっくり言うと、サービスアパートは「高いぶん、ラクで安定」、管理物件は「安いぶん、自分で動く場面が多い」です。わたしたちは両方に住んだので、その体感つきで表にまとめます。

| 項目 | サービスアパート | 管理物件(オーナー物件) |
|---|---|---|
| 契約の相手 | 運営会社(法人) | 個人オーナー |
| 家具・家電 | 標準装備。食器やリネンまで揃うことが多い | 付いていることが多いが、内容は物件・オーナー次第でばらつく |
| 清掃・リネン | 週数回のハウスクリーニングが賃料に込みが一般的 | 基本なし。必要なら自分で家政婦(アイさん)を手配 |
| トラブル窓口 | フロントに一本化。連絡すればその日〜翌日で人が来ることが多い | オーナーや仲介を経由。部品手配や業者調整で数日〜1週間かかることも |
| 家賃 | 同条件の管理物件より高め。相場変動の影響を受けにくく安定 | 相対的に安い。ただし契約更新時に値上げ交渉が入ることがある |
| 内装の自由度 | 低い(決められた仕様のまま) | オーナー次第で家具の追加・入れ替えを交渉できる |
| 向いている人 | 単身・短期・初めての上海・とにかく手間を省きたい人 | 予算重視・広さ重視・間取りや内装にこだわりたい人 |
いちばん差を感じたのはトラブル対応のスピードでした。サービスアパートはフロントに言えば話が早く、こちらが中国語を話せなくても運営会社が業者との間を取り持ってくれます。管理物件だと、まずオーナーに連絡→オーナーが業者を探す→日程を合わせる、という流れになり、間に仲介が入ってもどうしても時間がかかりました。家賃補助の枠に余裕があるなら、この「窓口の一本化」にお金を払う価値は大きいと思います。
設備トラブルは「起きる前提」で構える
これは声を大にして言いたいのですが、上海の家は、住んでいればどこかしら必ず何かが壊れます。わたしたちが3軒で経験しただけでも、食洗機が動かなくなる、給湯器が故障してお湯が出ない、エアコンが効かない…といったことが順番に起きました。新しめの物件でも、きれいな内装でも関係なく起きます。
上海の賃貸マンションは、日本の住宅と比べて断熱・防音の作りが弱く、上海 賃貸 設備 故障はエアコンを筆頭にトラブル率が高いと言われます。実際、リモコンの反応が悪い、水回りのパッキンがすぐ劣化する、といった小さな不調は日常茶飯事でした。
大事なのは心構えです。「日本の賃貸なら考えられない」とストレスを溜めるより、「壊れるのは普通。起きたら直せばいい」と最初から割り切っておくと、驚くほど気持ちがラクになります。そのうえで、
- 入居時に、管理室やフロント、オーナー、仲介の緊急連絡先をまとめておく
- お湯・エアコン・水回りなど「止まると困る設備」は、内見や入居初日に必ず自分で動かして確認する
- 不具合はスマホで写真・動画を撮って送ると、言葉が通じなくても話が早い
この3つをやっておくだけで、いざというときの復旧がかなりスムーズになります。
日本人が住むエリアの分布と位置関係
上海で日本人が多く住むのは、浦西(プーシー)側の長寧区・徐匯区、そして浦東(プードン)側の一部エリアに集中しています。区の名前だけ聞いてもピンと来ないと思うので、位置関係を模式図にしました。

※上の図は方角・距離を正確に表した地図ではなく、あくまでエリアの相対的な位置関係のイメージです。
長寧区(古北・虹橋・天山・中山公園)
いちばんの定番。とくに古北(グーベイ)は昔から「上海の日本人街」と呼ばれるエリアで、日系スーパー、日本食レストラン、日本語の通じるクリニックや美容室が集まっています。古北は古北路を境に、西側が1990年代開発の古北1期、東側が2005年以降開発の古北2期に分かれ、築が新しい2期のほうが人気・家賃ともに高めです。隣接する虹橋・威寧路エリアや天山エリアも日本人が多く、中山公園は地下鉄2・3・4号線が集まる交通の要衝で、大型モール「龍之夢」を中心にとにかく賑やかです。
徐匯区(徐家匯)
徐家匯(シュージャーホエ)は上海有数の繁華街で、地下鉄1・3・4・9・10・11号線が通る交通ハブ。日系スーパーや日本食もあり、古北方面・浦東方面・静安寺方面のどこへ行くにも動きやすいのが強みです。古北ほど日本人密度は高くありませんが、そのぶん相場はやや落ち着いています。北側はすぐ旧フランス租界で、閑静な並木道や欧米系のカフェ・レストランも多く、「日本人向けの便利さ」と「上海らしいおしゃれさ」の両取りができるエリアです。
浦東(世紀公園・聯洋・碧雲など)
川を渡った浦東側は、道路が広く街並みが新しいのが特徴。日本人学校の浦東校があるため、子どものいる家庭を中心に居住者が増えています。世紀公園周辺や聯洋(花木)、外国人向けに整備された碧雲国際社区などが人気で、勤務先が陸家嘴や張江など浦東側なら通勤も一気にラクになります。
そのほか(静安寺・南京西路/新天地・淮海路)
日本人街ではありませんが、単身者やDINKsに人気なのが静安寺・南京西路と新天地・淮海路。高級物件や新しいレジデンスが多く、街の中心で仕事も遊びも徒歩圏、という暮らし方ができます。日系の生活インフラは古北ほど揃っていないので、中国語や配達アプリにある程度慣れている人向けです。
実際に住んだ3軒レポート
ここからは、わたしたちが実際に住んだ天山河畔花園(管理物件)、园林一品(サービスアパート)、徐匯苑(サービスアパート)の3軒を振り返ります。

天山河畔花園(Oasis Riviera/長寧区・管理物件)
長寧区の水城路沿い、地下鉄2号線「威寧路」駅から歩ける距離にある大型マンション。2006年築で、敷地内に室内外プールやジム、テニスコート、コンビニがあり、日系の幼稚園・学校のスクールバス停留所も近いという、家族向けの条件が揃った物件です。近くにスーパー「CITY SHOP」や商業施設「Bingo Plaza(缤谷)」があり、生活は便利でした。間取りは2LDKで100〜113㎡、3LDKで133〜148㎡ほど。相場は2LDKで約16,800元/月〜が一つの目安です(時期・部屋・階数で変動します)。
ここは管理物件で、内装がとにかくオシャレで日本人好みのデザインでした。同じ建物にも日本人がたくさん住んでいて、情報交換ができて心強かったです。一方で、設備が壊れたときはオーナー経由での調整になり、対応までに時間がかかる場面がありました。「内装の趣味」と「日本人コミュニティ」を重視するなら、とても良い選択肢だと思います。
园林一品(長寧区・中山公園/サービスアパート)
地下鉄2号線「中山公園」駅のエリアにあるサービスアパート。とにかく立地が便利で、大型モール「龍之夢」をはじめ外食も買い物も徒歩圏、日系のチェーン店やコンビニも近く、駐在生活のスタートには理想的でした。2号線沿いは市内の主要スポットへ乗り換えなしで行けるところが多く、通勤・お出かけの両方でメリットが大きいです。サービスアパートなので、設備の不具合はフロントに言えば比較的すぐ動いてくれました。「駅近」「生活利便」を最優先する人におすすめのエリアです。
徐匯苑(Xuhui Garden Service Apartment/徐匯区・徐家匯)
徐匯区の天鑰橋路沿い、上海体育館・上海游泳館の近くにあるサービスアパート。地下鉄1・4・11号線が使えて、市内のどこへ行くにもアクセスが良い立地です。ジムや室内プール、シャトルバス、ハウスキーピングなどの設備・サービスが揃っています。間取りは1LDK 75㎡、2LDK 122㎡、3LDK 168㎡ほどで、2LDKで約22,800元/月という例がありました(あくまで参考値です)。
住んでみて良かったのは、とにかく家が広かったこと。床暖房が入っていて、サンテラスが2つ、トイレも2つあり、夫婦2人には十分すぎる快適さでした。サービスアパートなのでトラブル対応も早く、「広さ」と「設備」を重視するファミリーには特に合うと思います。
日本人に人気の物件・エリアをもっと挙げる
わたしたちが住んだ3軒以外にも、日本人に人気の物件・エリアはたくさんあります。エリア別に代表的なものを挙げておきます(物件名は時期によって人気度が変わります)。
- 古北エリア…名都城(Mandarine City)は古北1期を代表する大規模マンションで、敷地内にスーパー・銀行・飲食店・日系幼稚園・室内ゴルフまであり、日本人・韓国人・欧米人に人気。ほかにも古北2期の築浅マンション群、黄金城道(日本食・カフェが並ぶ通り)周辺の物件が定番です。
- 虹橋・威寧路エリア…天山河畔花園など、プールやジム付きの大型物件が多く、スクールバス路線も充実。家族向けの選択肢が豊富です。
- 中山公園エリア…园林一品のほか、龍之夢直結・駅近のレジデンス。単身〜ファミリーまで幅広く対応できます。
- 徐家匯エリア…徐匯苑をはじめとするサービスアパート、徐家匯駅周辺のマンション。交通ハブでどこへ行くにも便利です。
- 浦東エリア…世紀公園・聯洋(花木)周辺のファミリー向け物件、外国人向けに整備された碧雲国際社区、康橋エリアの一戸建て(別荘タイプ)など。日本人学校 浦東校に通わせる家庭に人気です。
- 静安寺・南京西路/新天地・淮海路エリア…中心部の高級レジデンス。単身・DINKsで「街のど真ん中に住みたい」人向け。
家賃相場の目安は次のとおりです(不動産各社サイトの一般的なレンジで、実際の成約額は物件・時期・交渉で変わります)。
| エリア/タイプ | 広さの目安 | 家賃の目安(月) |
|---|---|---|
| 古北・虹橋のオーナー物件 | 40〜70㎡ | 約6,000〜9,000元 |
| 大型マンション(天山河畔花園 例) | 2LDK 100〜113㎡ | 約16,800元〜 |
| サービスアパート(徐匯苑 例) | 2LDK 120㎡前後 | 約22,800元前後 |
日本人が家探しで重視しがちなポイント
現地の日本人の家探しを見ていると、チェックしている点はだいたい共通しています。参考までに上海 家探し ポイントとしてリスト化しておきます。
- 日本人学校・日系幼稚園のスクールバス停留所が近いか(子どものいる家庭は最優先項目)
- 日系スーパー(CITY SHOP など)や日本食街への距離…徒歩圏だと生活の安心感がまるで違う
- 同じ建物・小区の日本人入居率…情報交換ができ、いざというとき助け合える
- 管理の質・フロントの対応時間…24時間対応のフロントがあるか、日本語や英語が通じるか
- 水回りの状態とコンセントの位置…洗面所にドライヤー用コンセントがあるか、浴槽・シャワーの水圧は十分か
- 床暖房・浴槽・食洗機の有無…上海の冬は底冷えするので、床暖房の有無は体感が大きい
- 通勤で使う地下鉄の号線とドアツードアの所要時間…2号線・10号線沿いは動きやすい
- 採光・階数・防音…上海のマンションは防音が弱めなので、隣戸・上下階の生活音は内見時に意識して確認
- 築年数と内装の趣味…古北なら1期か2期か。写真で見て「日本人好みの内装か」もチェック
すべてを満たす物件はまずないので、「絶対に譲れない条件」を2〜3個に絞るのが上海の家探しのコツです。
内見・契約で確認したい実務ポイント
内見・契約のときに、わたしたちが「やっておいてよかった」「次はこうする」と思ったことです。
- 設備を実際に動かす…給湯器でお湯を出す、エアコンを冷暖房とも運転する、食洗機を回す、水を全開にする。写真だけで判断しない。
- 修繕の負担を契約書で確認する…どこまでがオーナー負担か、消耗品はどちらが持つかを入居前に文書で。
- 連絡窓口と手段を決めておく…トラブル時に誰に、どのアプリ(WeChat など)で連絡するか。担当者の名前も控える。
- 家具・家電の追加を交渉する…管理物件なら入居前が交渉のチャンス。必要な家具はこのタイミングで頼む。
- 臨時住宿登記(居住登録)を忘れない…入居後は最寄りの派出所などで住居登録が必要。仲介やフロントに手順を確認しておく。
日本語対応の不動産会社を使うと安心
上海の家探しは、日本人駐在員向けに日本語で対応してくれる不動産会社がいくつもあります。物件検索から内見の同行、契約書のやり取り、入居後のトラブル対応まで日本語でサポートしてくれるので、赴任直後で中国語に不安があるうちは頼る価値が大きいです。
わたしたちが物件情報を見るときに参考にしていたのがサンズエステート(三居房地産)です。虹橋・古北・中山公園・徐家匯・浦東(日本人学校周辺)・静安・新天地・陸家嘴といった日本人に人気のエリアを幅広くカバーしていて、スタッフが実際に撮った写真や360度ビューで部屋の中を確認できます。エリア・沿線・区・地図・こだわり条件から絞り込めるので、赴任前に日本にいながらエリアの雰囲気と相場感をつかむのに便利でした。日本の電話番号やLINE・WeChatでも問い合わせができます。
もちろん会社によって得意エリアや物件の傾向が違うので、2〜3社に同じ条件を伝えて比較するのがおすすめです。
よくある質問
Q. サービスアパートと管理物件、結局どっちがいい?
家賃補助に余裕があり、手間を省きたい・赴任期間が短い・初めての上海ならサービスアパート。予算を抑えたい・広さや間取りにこだわりたいなら管理物件。わたしたちは「トラブル対応の早さ」でサービスアパートの快適さを実感しました。
Q. 古北と天山(虹橋)、どっちに住むのがいい?
日系の店やクリニックの密度、日本人の多さを最優先するなら古北。少し相場を抑えつつ大型マンションの設備を取りたいなら天山・虹橋。中山公園まで足を伸ばすと交通と買い物の利便がさらに上がります。
Q. 設備が壊れたら誰に連絡するの?
サービスアパートはフロント(運営会社)に一本化。管理物件はオーナー、または間に入っている仲介会社に連絡します。入居時に緊急連絡先をまとめ、WeChatを交換しておくとスムーズです。
Q. 単身と家族で選び方は変わる?
変わります。単身なら中心部(静安寺・南京西路など)のコンパクトな物件も選択肢。家族、とくに子どもがいる場合はスクールバス停留所・日系スーパー・医療機関の近さが最優先になり、古北・虹橋・浦東(世紀公園)が候補になります。
まとめ:上海の家探しは「割り切り」と「エリア選び」
3軒に住んで分かったことを、次に上海へ来る方へのアドバイスとしてまとめます。
- 設備トラブルは起きる前提で。「壊れたら直す」と割り切り、緊急連絡先だけは最初に整えておく。
- エリアと地下鉄の号線で絞る。古北・虹橋・天山・中山公園(長寧区)、徐家匯(徐匯区)、世紀公園(浦東)が日本人の定番。通勤路線から逆算すると失敗が少ない。
- 日本人入居率と管理の質を見る。同じ建物に日本人が多いと情報も助けも得やすい。トラブル対応の窓口が一本化されているかも要チェック。
- 譲れない条件は2〜3個に絞る。全部満たす物件はない。優先順位を家族で決めてから内見に臨む。
家が落ち着くと、上海生活は一気に楽しくなります。焦らず、でもスピード感を持って、自分たちに合う住まいを見つけてください。
あわせて読みたい
