上海・新天地を夜さんぽ|旧租界の歴史とおしゃれ洋食レストラン街を歩く

上海生活

こんにちは、さきです。上海駐在生活の中で「一度はちゃんと歩いてみたい」と思っていたエリア、新天地(しんてんち/Xintiandi)にようやく行ってきました。夕方から夜にかけてぶらっと散策しただけなのに、想像していた以上に雰囲気が良くて、すっかり気に入ってしまったので今回はそのレポートです。

洋食レストランが立ち並ぶおしゃれな街並みだけでなく、実は中国の近現代史を語るうえで欠かせない場所でもある新天地。歴史の話も交えつつ、田子坊との違いや次に行く人へのアドバイスまでまとめました。

目次

新天地ってどんな街?──旧フランス租界と石库门建築

新天地は上海の中心部、黄浦区・淮海中路のすぐ南に広がるエリアです。もともとこの一帯は、20世紀前半に外国人が管理していた「旧フランス租界」に含まれていた場所で、当時の上海には他にも共同租界(イギリス・アメリカ主体)などが置かれていました。租界時代に建てられた、中国建築と西洋建築が融合した独特の集合住宅様式が「石库门(せっこもん/シークメン)」です。

新天地は2001年、この石库门の街並みをそっくり保存・改修する形で再開発され、外観はレンガ造りの古い街並みのまま、中はおしゃれなレストランやバー、ブランドショップという今の姿になりました。歩いているだけで「古い上海」と「今の上海」が同時に楽しめるのが最大の魅力です。

新天地の石库门建築とレストラン街
レンガ造りの石库门建築をそのまま活かしたレストラン街

実は「あの」歴史的建物も──中国共産党「一大会址」ゆかりの地

新天地を語るうえで見逃せないのが、隣接する興業路にある「中共一大会址(中国共産党第一回全国代表大会が開かれた場所)」の存在です。1921年7月、この地にあった石库门の民家で、のちの中国を大きく動かすことになる中国共産党の第一回全国代表大会が開かれました。今はその建物が記念館として保存・公開されており、新天地の再開発自体も、この歴史的建造物を核とした「太平橋地区再開発計画」の一環として1990年代後半に動き出したという経緯があります。

つまり新天地は「おしゃれな商業エリア」であると同時に、「租界時代の面影」と「中国近代史の重要な一幕」の両方が同じ石库门の街並みの中に共存している、上海でもかなり特殊な場所なんです。今回は記念館の中までは入りませんでしたが、街を歩いているとそうした案内板や記念碑にも出会うので、気になる方は合わせて立ち寄ってみてください。

新天地の場所は?──地下鉄・周辺観光地からの位置関係

初めて新天地に行く方向けに、地下鉄駅や周辺の有名観光スポットとの位置関係を簡単な図にまとめてみました。

上海新天地の位置関係マップ(地下鉄1号線・10号線・13号線、外灘・人民広場・田子坊・豫園との距離感)
新天地と周辺観光地の位置関係(簡易図・縮尺は正確ではありません)

最寄り駅は地下鉄10号線・13号線の「新天地」駅で、駅を出れば徒歩5分もかからずにたどり着けます。北側からアクセスする場合は地下鉄1号線の「黄陂南路」駅も便利です。人民広場駅で2号線に乗り換えれば、南京東路や陸家嘴(東方明珠のあるエリア)方面にもそのままアクセスできるので、外灘や人民広場と組み合わせた観光ルートが組みやすいのも新天地の良いところだと思います。田子坊までは徒歩20分弱、タクシーなら5分程度なので、天気が良ければ食後の散歩がてら歩いて行くのもおすすめです。

夕方から夜がベストタイム!新天地の雰囲気

今回私たちが新天地に着いたのは夕方ごろ。日中の写真も撮りましたが、正直な感想としては「新天地は夜が本番」だと思います。木々に巻き付けられたイルミネーションが灯り始め、レストランのテラス席にキャンドルが並び、街灯もクラシックなデザインで統一されているので、日が落ちるにつれてどんどんおしゃれ度が増していく感覚がありました。

新天地の入口アーチとスターバックスリザーブ
新天地のエントランス。アーチをくぐると石库门の街並みが広がる
夕方の新天地の街並み
夕暮れどきの新天地。ブランドショップが並ぶ通り
イルミネーションが灯る新天地の路地
イルミネーションが灯り始めた路地。夜になるほど雰囲気が増していく

新天地はいわゆる観光地にありがちな「広大な敷地をひたすら歩く」タイプの場所ではなく、南里・北里と呼ばれる2つのブロックに石库门の路地がぎゅっと集まったコンパクトなエリアです。そのため1〜2時間もあれば主要な通りは十分に歩き回れます。「がっつり観光」というより「食事や散歩のついでに寄る」くらいの気軽さがちょうどいいエリアだと感じました。

洋食レストランが集まる理由とお値段事情

歩いていて印象的だったのが、とにかく洋食系のレストラン・バーが多いこと。イタリアン、フレンチ、ステーキハウス、ワインバーなど、あちこちの石库门の建物にそれぞれ違うジャンルのお店が入っています。これは新天地がもともと駐在員や観光客、地元の富裕層をターゲットにした商業開発だったこと、そして石库门の重厚な建物の雰囲気が洋食のダイニングと相性が良いことも関係していそうです。

新天地のレストラン gaga coast
石库门の建物にテラス席が並ぶ「gaga coast」。隣にはBAR NATOも

お値段については、正直どのお店も安くはない、というのが率直な印象です。今回は入店していませんが、外観やメニューの雰囲気から見た感覚として、1人あたり最低でも200元前後(1元≒23円換算で、約4,600円前後)はみておいた方がよさそうなお店がほとんどでした。ドリンクやコースを頼めばもちろんそれ以上になります。上海の中でも新天地は「特別な日に少し奮発して食事をする」エリアという位置づけで考えておくと、金銭感覚のギャップが少なく楽しめると思います。

田子坊との違いは?

上海の石库门系観光地というと「田子坊(たしぼう)」を思い浮かべる方も多いと思いますが、新天地とはかなり雰囲気が違います。

  • 成り立ち:新天地は大手デベロッパーが石库门の街並みを丸ごと再開発した「作られた街」。田子坊はもともとの住宅街に個人商店が自然発生的に増えていってできた「生活の延長にある街」
  • 広さ・雰囲気:新天地はコンパクトで整然としており、通りも広め。田子坊は路地(里弄)が入り組んだ迷路のような造りで、雑多で賑やかな雰囲気
  • 客層・お店:新天地はハイブランドショップ・洋食レストラン・バー中心。田子坊は雑貨店・アート系ショップ・手頃な飲食店が中心で、価格帯も新天地よりだいぶ抑えめ

「上品にお洒落な夜を過ごしたいなら新天地」「ごちゃごちゃした路地裏を冒険しながらお土産探しをしたいなら田子坊」というイメージを持っておくと、旅程が組みやすいと思います。どちらも同じ石库门文化がベースにありながら、方向性がまったく違うのが面白いところです。

次に行くなら要チェック「THE REFINERY」

今回は残念ながらタイミングが合わず行けなかったのですが、新天地エリアで今かなり話題になっているレストランが「THE REFINERY(ザ・リファイナリー)」です。中国版インスタグラムとも言われる小紅書(RED)でもよく取り上げられていて、雰囲気の良さと人気ぶりが伝わってきます。

THE REFINERY Bistro & Bar の外観
話題のTHE REFINERY。次回はぜひ入ってみたいお店

私たち自身はまだ未訪問なので偉そうなことは言えないのですが、外観だけでも十分に雰囲気の良さが伝わってくるお店です。新天地に行く機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。訪問できたら改めてレポートしたいと思います。

新天地の最新トピック

散策中、通り沿いにはネオンのアーチや装飾が飾られていて、ちょうど「新天地デザインフェスティバル」というデザイン関連のイベントが開催されているタイミングでした。新天地は普段のショッピング・グルメエリアとしての顔以外にも、デザイン系のイベントやアート展示が定期的に行われるエリアでもあるので、訪れるタイミングによっては通常とはひと味違った装飾や催しに出会えるかもしれません。旅行前にSNSや現地の案内板で直近のイベント情報をチェックしてみるのもおすすめです。

新天地デザインフェスティバルのネオン装飾とTOM FORDなどのブランドショップ
ちょうど開催されていたデザイン関連イベントの装飾。TOM FORDなどハイブランドの店舗も並ぶ

また新天地は南里・北里だけでなく、隣接する「新天地広場」や淮海中路方面のショッピングエリアとも地続きになっているため、買い物と食事をまとめて楽しみたい人にも向いています。混雑を避けたいなら平日の夕方早め、賑やかな雰囲気を楽しみたいなら週末の夜がそれぞれおすすめです。

よくある質問(FAQ)

Q. 新天地と田子坊、どちらを先に行くべき?

A. 上記の通り性格が異なるエリアなので、どちらか一方だけでも十分楽しめます。効率重視なら地下鉄1号線・10号線でアクセスできる新天地を軸に、時間があれば徒歩圏の田子坊まで足を延ばすのがおすすめです。

Q. 昼と夜、どちらがおすすめ?

A. 記事内でも触れた通り、個人的には夜(日没後)が断然おすすめです。イルミネーションが灯り、レストランの雰囲気も一気に華やかになります。

Q. 予算はどのくらいみておけばいい?

A. レストランで食事をするなら1人200元(約4,600円)以上を目安に。カフェやお茶だけなら、それより手頃に楽しむこともできます。

まとめ

新天地は、旧フランス租界時代の石库门建築と、中国共産党「一大会址」という近代史の重要な舞台、そして今のおしゃれな洋食レストラン街が同居する、上海の中でもかなり密度の濃いエリアでした。広さはコンパクトなので観光の合間にサッと立ち寄れるのも魅力です。田子坊とはまったく違う魅力があるので、上海観光の際はぜひ両方を歩き比べてみてください。そして次に行くときは、私たちも「THE REFINERY」に挑戦してみたいと思います。

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